母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話③

※この記事は2016年8月23日に別サイトにて公開したものです。

※また、この記事は前回の続きとなりますので、「母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話①」(https://ebiebilove35.hatenablog.com/entry/2019/03/12/133813)からお読みいただけたら幸いです。

 

前回、母が受験生である私を気遣い、息抜きとして「A.B.C-Z オーストラリア縦断 資金0円 ワーホリの旅」を一日にディスク一枚分ずつ再生してくれたことを述べた。母がそうしてくれなければ、自分に負けて全編一気に観てしまっていてもおかしくなかったと思う。

 

しかし、このブログの読者の皆様の中には、こう思った方もいるのではないだろうか。

 

「ディスク1枚分って、長くない?(笑)」

 

その通り。ディスク1枚分まともに観たら、一時間半ほどは時間をとられるのだ。A.B.C-Zがワーホリの旅を行っていた期間は九日間。ディスク一枚に数日分が収録されているのだから、一日分ずつ観ればよかったのでは?と思う方もいるだろう。

 

実は、最初はそうしていたのだ。一日に一日分。そうすれば30分ほどになるので、勉強の息抜きにはちょうどいいだろう、と。

 

では、なぜディスク一枚分観るようになったのか。私が「もう少し観ようよ~」などと言ったのではない。実は、他に延長を希望した人物が存在するのだ。

 

 

母である。

 

【episode3 ワーホリは凄かった①】

ワーホリを観始める一か月ほど前、私が「A.B.C-Z Early summer concert」を観ていた際は興味がなさそうにしていた母であったが、ワーホリに関しては、初めから私と肩を並べて楽しそうに観ていた。

 

もっとも、母は『A.B.C-Zの番組』としてではなく、『何やら面白そうなバラエティ番組』としてワーホリを観始めたのだろうが、それでも私は、母とA.B.C-Zの良さを共有できるのが嬉しかった。

 

一日分を観終えたら、母が「はい、今日は終わり」と停止ボタンを押してくれるので、二次試験間近ではあったが、私自身も罪悪感を持つことなく、純粋に息抜きとしてその時間を楽しむことが出来た。

 

「はっはは、郁人口じゃなくて手を動かしなさいよ~」

 

「塚ちゃん、嫌な顔一つせずにずっと運転してて偉いね~」

 

母が何か言うたび、私はその発言を敏感にチェックしていたのだが、やはり「一番好みじゃない」と言っていただけあって、橋本良亮に関してのコメントはほとんどなかった。

 

(う~ん…。母がはっしーに興味を持つまでには、かなり時間がかかりそうだ…。)

 

私のこの見解が、まるっきり誤っていたことにはいずれ触れるとして、「一日に一日分」の生活が三日目に入ったころだったと思う。母に異変が起こった。

 

その日も、前二日同様「一日分」を観終えた私は、いつも通り母の「はい、今日は終わり」を合図に自室に戻るはずだった。しかし、お決まりの台詞は聞こえてこなかった。

 

(あれ?一日分終わったことに気付いてないのかな?)

 

そう思った私が母の方を見ると、母はリモコンをにぎりしめたまま、じっと私の方を見ていた。

 

「何?(笑)」

 

「ねえ…、とめる?(笑)」

 

「どういうこと?」

 

「もうちょっと観ない?(笑)」

 

Σ(゚ロ゚;)

 

そう、母は、私の予想以上にワーホリにハマっていたのである。

 

「ごめんごめん、受験生だもんね。とめないとね。」

 

「いや、そしたら毎日ご飯の時間に観よう!そしたら朝昼晩合わせてディスク一枚分くらいの時間になるからちょうど良いはず!(笑)

 

こうして私と母は、「一日に一日分」ではなく、「一日に一枚分」の生活を送ることとなったのである。

 

ワーホリは、驚異的な速さで母とA.B.C-Zの間の壁を壊していった。

 

母に見られた変化としては、まず、私がA.B.C-Zの話をしても嫌な顔をしなくなった。それどころか、母からA.B.C-Z関連の話題を振ってくることも増えた。

 

また、以前は私が車内でA.B.C-Zの曲を流すと、「またこれかよ」という顔をし、必ず私がいない間に嵐の曲に変えていた母であったが、徐々に「えびのあの曲が聴きたい」などと言うようになった。車内では、当然のようにA.B.C-Zの曲が流れるようになった。

 

「母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話②」でも示した通り、受験が終わるまでの目標は「じわじわと(あくまで意識的でない感じで)曲を聞かせ、チャンスがあれば短めの動画を見せたりし、母の中に出来る限りのA.B.C-Z受容体を完成させておくこと」だった。まさか受験を終える前にここまで状況が良くなると思っていなかった私は、ワーホリの持つ威力にかなり驚いていた。

 

しかし、ワーホリの凄さはこんなもんじゃなかった。ワーホリ氏は、私の気づかないうちに、とんでもない偉業を成し遂げていたのだ。

 

 

母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話④に続く。