母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話②

※この記事は2016年8月21日に別サイトにて公開したものです。

※また、この記事は前回の続きとなりますので、「母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話①」(https://ebiebilove35.hatenablog.com/entry/2019/03/12/133813)からお読みいただけたら幸いです。


母が河合郁人のみを許容していることを知った私は、次のような作戦を立てた。

 

①受験が終わるまでは、じわじわと(あくまで意識的でない感じで)曲を聞かせ、チャンスがあれば短めの動画を見せたりし、出来る限りの受容体を完成させておく。

②受験が終わり次第、バラエティ番組等、馴染み易い動画を見せ、メンバーそれぞれの魅力を伝える。

(ちなみにこの時点では、私自身もメンバーそれぞれの本当の魅力に気付いていなかった。)

③その後、畳みかけるようにMVやコンサート映像を見せ、一気にゴール

 

「完璧だ…。」

 

作戦通り、焦らず着実に作戦①を実践し、なんとか母に「とっつーも可愛いね。」と言わしめるところまで到達した私だったが、あるとき失態を犯すこととなる。

 

【episode2 コンサートDVD二本立て事件】

 

センター試験翌日。

この日だけは、一秒たりとも勉強をせず息抜きに使おうと、前々から決めていた。

私にとって、その貴重な一日をどう過ごすかなど、考えるまでもないことだった。

 

「我慢していたライブDVDを一気に観てやる…!!」

 

このとき手元には、未開封のライブDVDが2本あった。

A.B.C-Z Early summer concert」そして「ARASHI BLAST in Miyagi」である。

 

A.B.C-Zのコンサート映像をしっかりとは見たことがなかった私は、一本目に「A.B.C-Z Early summer concert」を選んだ。私が目をハートにし、キャーキャー言いながら映像を観ている間、興味がなさそうにしていた母だったが、河合郁人くんと戸塚祥太くんのソロ曲の時だけは、ちゃっかりTVの前に座って

 

「あっはは、郁人面白いわ(笑)」

 

やら

 

「とっつー、叫んでる~」

 

やら言いながら楽しそうに見ていた。このとき私は、彼らの想像以上の格好良さや、パフォーマンスのレベルの高さに夢中で、正直作戦のことなど忘れていた。母に「河合くんと戸塚くん」だけでなく「A.B.C-Zの」良さを知ってもらう良いチャンスであったにも関わらず、能天気に

 

「あら、お母さんも楽しんでるじゃないの~」

 

なんて思っていた。このとき私の頭に少しでも作戦のことが残っていたなら、母はもう少し早くA.B.C-Zを好きになっていたかもしれない。しかし、残念ながら微塵も残ってなかったのだ。

 

しかし、先に「失態」と述べたのは、このことではない。(このことだけではない、と言った方が正しいか。)

事件が起こったのは「A.B.C-Z Early summer concert」の視聴を終え、「ARASHI BLAST in Miyagi」をデッキに入れた後だった。

 

繰り返しになるが、長年私と共に嵐を応援してきた母は、一曲目が始まると同時に私の隣に腰かけ、映像を見始めた。

 

中盤になって、

 

「う~ん、やっぱり嵐は格好良いね」

 

と、母が呟いたとき、嫌な予感がした。いや、もちろん嵐は格好良いのだが。なんだかその言葉に、それ以上の意味が込められている気がしたのだ。

 

そして、その予感は的中した。

終盤、感動的な内容になり、私が涙を浮かべて嵐のメンバーの紡ぎだす言葉に耳を傾けていた時だった。

 

「やっぱり私は嵐の方が好きだわ~。A.B.C-Zはいいかな。」

 

ド━(゚Д゚)━ン!!


私は「それはないっスよおっかさん」と思ったが、母は「A.B.C-Z Early summer concert」を賞味10分程度(ソロ曲×2)しか観ていなかったうえ、11月に嵐のライブに行って以来、約2か月ぶりに嵐がステージ上でキラキラ輝く姿を観たのだ。嵐への愛を再確認しても仕方がなかった。

 

私は、母にA.B.C-Zの良さをPRし損ねただけでなく、彼女を完全に嵐ファンに引き戻してしまったのだ。

 

「母がA.B.C-Zファンになること」を山頂として登山に例えると、3合目くらいまでは差し掛かっていたように思われたが、この事件によって一気に1合目まで戻ってしまった。感覚的にはそういった感じだった。

 

 

その翌日から、私は二次試験に向けた勉強に取り組みだした。この時期になると学校の授業もなくなるため、塾に通っていなかった私は、自宅に籠ってひたすら一人きりで勉強するだけの日々を送っていた。

 

A.B.C-Zへのドアを開けたらそこは天国だった」

http://ameblo.jp/ebiebilove35/entry-12191929308.html)でも触れたが、私はそんな日々の癒しとするべく、就寝前2時間を「嵐とA.B.C-Zに浸る時間」として確保しており、この時間を使って細々とA.B.C-Zについて勉強していた。

 

そんなある日、一人のA.B.C-Zファンの方のツイートにより「A.B.C-Z オーストラリア縦断 資金0円 ワーホリの旅」の存在を知った。

 

「なんだこれは!!!めっちゃくちゃ面白そう!!!」

 

(このとき私と「ワーホリ」を出会わせてくれた方がどなたであったかは、残念ながら覚えていない。もし今その方にお会いできるのなら、心の底からお礼を申し上げたい。)

 

とにかく大興奮した私は、鼻息を荒くして母のもとに行き、「母をA.B.C-Zファンにする」登山が1合目に戻っていたことなどお構いなしで騒ぎ散らした。

 

「ねぇ!!!こんな素晴らしい番組が過去に放送されてたんだって!!!めちゃくちゃ観たくない!?!?!?(大興奮)」

 

私は、最後まで丁寧に(?)騒ぎ散らし終えてから、母の表情を見てハッとした。そして、「別に見たくない」と返されることを覚悟した。しかし、母の返事は意外なものだった。

 

「へ~、面白そう。観てみたいね。」

 

(あら…???)

 

興味深々で 「ワーホリの旅」の公式サイトを眺める母の姿が、とても嬉しかったのを覚えている。しかしその数日後、更に嬉しいことが起こる。

 

「受験後の楽しみになるように」と、母が「ワーホリの旅」のDVDボックスを買い与えてくれたのだ。これは、「受験後の楽しみ」としてではなく、「受験直前の精神安定剤」として、私を支えてくれることとなった。受験を目前にして緊張で眠れなくなってしまった私を気遣い、母が一日にディスク一枚分ずつ再生してくれたためである。

 

私にとって「A.B.C-Z オーストラリア縦断 資金0円 ワーホリの旅」は、受験期を支え、A.B.C-Zの魅力や、メンバーそれぞれの魅力、メンバー同士の関係性など、さまざまなことを教えてくれた「特別な存在」となった。

 

そして、母にとってもまた、「ワーホリの旅」は特別な存在となるのである。

 

 

母をメクルメクA.B.C-Zの世界に引きずり込んだ話③に続く

(次回、急展開!!)