A.B.C-Zへのドアを開けたらそこは天国だった。
※この記事は、2016年8月20日に別サイトにて公開したものです。
高3の受験期、私は1日のほとんどの時間を机に向かって過ごし、ほぼずっと家に籠りきりの日々を送っていたため、精神的にかなり疲れ切っていた。
当時嵐のみを担当グループとしていた私は、毎日就寝前の2時間だけ(と言ってもかなり長いと感じる方もいるだろうが、私にはこれが限界だった)嵐に浸ってもよいと決め、日々生き延びていた。
いつものごとく、某動画サイトYで「嵐」やら「松本潤」やらのワードで動画を漁っていたところ、関連動画の中になにやら気になるものを発見した。
大袈裟かもしれないが、これが私の人生を変えた瞬間だった。
特に意識もせず、動画を発見した次の瞬間には、自然と指がその動画の視聴画面を開いていた。
「へぇ~!似てる!めっちゃ似てる!!(笑)」
動画の中の「河合郁人」なる人物は、かなり激しく動いており、顔はよく見えなかったので、視聴後の感想はモノマネに対する評価のみだった。しかし、その後就寝時間が来て、眠りにつこうとするも、頭から「河合郁人」の存在は消えなかった。どうしても彼のことが知りたいという感情が抑えきれなくなった私は、ここから二時間ほど「河合郁人」について調べることとなる。
「へぇ~なかなか格好良い」
「ジャニオタなのね」
「後藤さんに似てる?」
「歌上手いのね」
「A.B.C-Zの人なんだ?前に一回歌ってるところ見たな…」
「河合郁人」のみを認識し、なぜここまで「河合郁人」のことが気になるのかもわからないままに情報を得ようと必死になっていた私は、まだ「彼の所属するグループ」に関心を持つには至らなかったが、「A.B.C-Z」という名前は頭の片隅に残ったのであった。
この日からわずか3日ほど経った晴れた日だったと思う。私は「受験勉強のお供」とすべくCDを借りに、レンタルCDショップに行った。このときは確か、ジブリのサウンドトラックを借りに行ったのだったが、目的のCDを探している途中にたまたま「A.B.C-Z」のアルバムを見つけた。
そう思ったが先か、気付いた時には「from ABC to Z」と「A.B.Sea Market」を手に取っていた。母に「え?なんで急にA.B.C-Z?」と言われたのを覚えている。
レンタルビデオショップを出ようとしたその時、もう一つの決定的な出会いが私を待ち受けていた。
出口付近にある中古DVDコーナーを何となく眺めた私の目に飛び込んだ「A.B.C-Z」の文字。
「Za ABC~5Stars~」と「ずっとLOVE」が1,000円ほどで売り出されていたのだ。
「なんだかA.B.C-Zに縁があるな…(笑)」
今なら何が何でも新品を定価で購入するのだが、何せこの頃はA.B.C-Zファンとしての人生に足、いや、つま先も踏み入れてなかったのだ。軽率に購入した私を、どうか許してほしい。
何はともあれ、二本のDVDと二枚のアルバムを抱えて帰宅した私は、すぐさま「Za ABC~5Stars~」をデッキに入れ再生した。
「勉強しないとだし、とりあえずMVだけ♪」
…のはずだった。しかし気が付くと、メイキング映像、あろうことか、ずっとLOVEまで観終えてたのだ。無関心だった母、そして父までもがTVにかじりついて映像を観ていた。
そこには未知の世界が広がっていた。
目が離せなくなるようなワンカメSHOWに、想像もしていなかったレベルのアクロバット、そして、それまで出会わなかったことを後悔するほどの楽曲の良さ。
もっと彼らの曲が聴きたいと思った私は、あっという間に二枚のアルバムを聴き終えた。
「もしかして、めちゃくちゃ好きになっちゃうかもしれない。」
はっきりそう思った。
(10年ほど嵐を応援し続けた私がこの気持ちを認められるようになるのは、もう少し先の話なのだが。)
思えば、偶然出会った二枚のDVDのうち一枚がデビュー曲だったこと、そしてもう一枚にコントが収録されていたために、彼らの色々な表情を見られたことは、かなり大きかった。
それからの就寝前の二時間は、徐々にA.B.C-Zで埋まっていった。
途中嵐のコンサートに行き、「やっぱり嵐!」と思ったり、受験前ということで嵐の「サクラ咲ケ」だけを狂ったように聴いた時期もあったが、A.B.C-Zは着実に私の生活の一部になっていった。
ジャニーズカウントダウンのコラボ企画では当然のように「河合郁人×松本潤」に投票したし、ABChanZOOと少クラは毎週録画するようになった。
メール会員にも登録したし、「勉強の励みになるように」と受験後の楽しみとして、母がワーホリを買い与えてくれたりもした。
(これは結局、受験を目前にして緊張で何も手につかなくなり、眠れなくなった私を気遣い、リフレッシュになるようにと母が一日にディスク1枚ずつ再生してくれたため、受験前に観終えてしまったのだが(笑))
そしてこのワーホリを観終え、一人ひとりの人間性、そしてメンバー同士の関係性を知った私は、もう自分自身がA.B.C-Zファンであることを認めざるを得ないほど、A.B.C-Zに惚れ込んでしまっていたのである。
A.B.C-Zは、確実に辛い受験期を支えてくれた存在であったし、これからもこの五人が自分を支えてくれる気がする。
無事に受験を終えた私は確かにこう感じていた。
その後、転げ落ちるみたいに加速して、それまでにリリースされていたCDやDVDを買い集めた。こうして私はA.B.C-Zファンの一員となったのである。
たくさんの奇跡が重なり、自分は導かれるようにA.B.C-Zに惹かれていった。
たった一人の女の子が、あるアイドルを好きになった。
それはありふれた普通のことかもしれないが、私にとってはなんだかドラマチックな出来事のように感じ、文章の形で残しておきたくなった。これは、ブログを始めた理由でもある。
拙い文章ではあるが、この文章を読んだ人が、大好きなものと出会ったときの事を思い出すきっかけにでもなれば幸いである。